いびきをかくと喉が痛くなる理由と対処法
風邪や空気の乾燥などが原因で、一時的に喉の痛みが起こることはよくあります。
しかし、病気でもないのに、毎朝起きると喉が痛い場合は、いびきが原因かもしれません。
この記事では、いびきによって喉が痛くなる原因を説明します。
喉の痛みがつらいときに、自分でできる対処法も紹介していますので、ぜひ試してみてください。
目次
1.いびきとは
いびきは、寝ている間に何らかの原因によって、空気の通り道である気道が狭くなることで生じます。
呼吸をするたびに、狭くなった気道の中を空気が勢いよく通り抜け、そのたびに喉の粘膜が振動して音が鳴ります。
いびきは、太っている男性に多いというイメージがありますが、やせている人や女性もいびきをかきます。特に女性は、更年期以降にひどくなることがあります。
普段はいびきをかかない人でも、疲れや飲酒などが原因でいびきをかくことがあります。このようないびきは一時的なものなので、原因が改善されるといびきは出なくなるでしょう。
ただし、毎晩のように大きないびきをかいている場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
【参考情報】『Snoring』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/snoring/diagnosis-treatment/drc-20377701
2.いびきの原因
いびきは生活習慣の乱れや病気など、さまざまな原因によって引き起こされます。
以下、いびきの原因について説明します。
2-1.疲労やストレス
体は疲労やストレスを感じると、筋肉を緩めて緊張をほぐし、回復を促します。
その際、喉の筋肉も緩むことで気道が狭くなり、いびきが出やすくなります。また、舌の筋肉も緩んで気道に落ち込むと、気道が塞がれて狭くなり、それもまたいびきの原因となります。
2-2.飲酒
アルコールには、筋肉を緩める作用があります。
そのため、就寝前にお酒を飲んで、アルコールが体内に残ったまま眠ってしまうと、喉の筋肉が緩んで気道が狭くなり、いびきが出ることがあります。
2-3.喫煙
タバコに含まれる化学物質は、気道の粘膜を刺激して炎症を引き起こします。
その結果、喉が腫れることで気道が狭くなり、いびきが引き起こされることがあります。
2-4.肥満
肥満体型になると、首回りや舌にも脂肪がつきます。
その結果、首周りの脂肪が気道を圧迫したり、脂肪の重みで舌が下がったりすると、気道が狭くなり、いびきが発生することがあります。
2-5.鼻詰まり
鼻が詰まると、鼻での呼吸がしにくくなるため、無意識のうちに口を開けて呼吸をするようになります。
口呼吸になると、舌が気道に落ち込みやすくなり、舌に塞がれた気道が狭くなることで、いびきをかきやすくなります。
2-6.アデノイドや扁桃腺の肥大
のどの奥にあるアデノイドや扁桃線が大きいと、それらに塞がれて気道が狭くなるため、いびきが出やすくなります。
子どものいびきは、アデノイドの肥大が原因になっていることも多いです。アデノイドは5~6歳の頃に最も大きくなり、その後、徐々に小さくなっていきます。
【参考情報】『Adenoid Hypertrophy』Osmosis from Elsevier
https://www.osmosis.org/answers/adenoid-hypertrophy
2-7.女性ホルモンの影響
女性ホルモンの一種であるプロゲステロンには、気道を広げる働きがあります。
プロゲステロンは閉経後に減少するため、更年期以降の女性は、気道が更年期前より狭くなり、いびきが生じることがあります。
3.いびきが原因で喉が痛くなる原因
いびきは以下のような理由で喉に負担をかけるため、痛みが生じることがあります。
3-1.喉の乾燥
いびきをかいているときは口が開いているため、口の中を多くの空気が通り抜け、喉が乾燥します。
喉が乾燥すると、喉の粘膜の防御機能が低下するので、少しの刺激でも痛みが生じやすくなります。
3-2.喉の炎症
私たちの体は、ウイルスや細菌などの異物が体に入ってきた場合、それらを体外に排出しようとします。
しかし、喉が乾燥していると、ウイルスや細菌を体の外にうまく排出できずに炎症が引き起こされ、痛みが生じることがあります。
3-3.喉の粘膜への負担
毎晩のようにいびきをかいていると、そのたびに喉の粘膜が振動します。
このような振動が続くと、喉の粘膜に負担がかかり続けるため、痛みが発生することがあります。
4.いびきによる喉の痛みを防ぐために自分でできること
喉の痛みが辛い時には、いびきの原因を探りながら、以下の方法を試してみてください。
4-1.寝室を加湿する
喉の粘膜の乾燥を防ぐため、寝室の湿度を40~60%程度に保ちましょう。
特に冬場は、乾燥した空気や暖房の影響で喉が乾燥しやすくなるので、加湿器などを利用して湿度を調整しましょう。
4-2.寝姿勢を変える
仰向けに寝ると気道が圧迫されるので狭くなり、いびきが出やすくなります。
一方、横向きに寝ると、気道が開いて空気が通りやすくなり、いびきが改善されることがあります。
4-3.テープやマスクで口を閉じる
いびきにつながる口呼吸を防ぐには、テープやマスクで口を閉じて眠るのもいいでしょう。口呼吸が減ると、喉の潤いが保たれ、痛みが生じにくくなります。
ただし、鼻が詰まっているときは、呼吸が苦しくなって危険なので、グッズで口を閉じることはしないでください。
◆「口呼吸がいびきにつながる理由と予防のためにできること」>>
4-4.市販薬を使う
喉の痛みがつらくてしんどい時は、痛みや炎症を緩和する市販薬を用いて症状を和らげることもできます。
ただし、一時的に痛みを抑えるだけで、根本的な解決にはならない点には留意しましょう。
4-5.アレルゲンの除去
花粉症やアレルギー性鼻炎などが原因で、睡眠中に鼻が詰まる人は、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)を、寝室から除去することが大切です。
寝室は、布団などの繊維に付着したアレルゲンが溜まりやすい場所です。寝室の掃除や寝具の洗濯を定期的に行い、できるだけアレルゲンを取り除きましょう。
寝室で空気清浄機を回して、アレルゲンを除去するのもいいでしょう。
4-6.口周りや舌の筋肉を鍛える
口周りの口輪筋や舌の筋肉の力が衰えると、就寝中に口が開いて口呼吸となり、いびきが出やすくなります。
口呼吸は、口や舌を動かす体操やトレーニングで筋肉を鍛えると改善します。また、かたまり肉や根菜など、噛み応えのある食材をよく噛んで食べることも、筋肉の衰えを防ぐのに役立ちます。
【参考情報】『オーラルフレイル対策のための口腔体操』日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_141.html
4-7.肥満体型の人は減量する
肥満体型の人は減量して、喉や舌に付いた脂肪を減らしましょう。
体の脂肪が減ると、喉や舌の脂肪も落ちて気道に空気が通りやすくなり、いびきが出にくくなります。
◆「いびきの原因は肥満?改善法と危険なサインを知っておこう」>>
5.対策しても効果が感じられない場合
上記の対策を行っても効果が感じられない場合は、病気が原因でいびきが出ている可能性があります。
以下、いびきが続く時に考えられる病気を紹介します。
5-1.睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まったり、浅くなったりすることを繰り返す病気です。
この病気には、肥満などが原因の閉塞性と、脳や神経、心臓の異常が原因の中枢性がありますが、ほとんどは閉塞性です。
閉塞性の患者さんのいびきの音は大きく、周りの人に「うるさい」「眠れない」と指摘されることも多いです。また、睡眠の質が下がるので熟睡できず、日中に猛烈な眠気に襲われることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の治療には、主にCPAP(シーパップ)という医療機器を使用します。CPAPで、寝ている間に鼻から空気を送り込み、睡眠中に呼吸が止まらないようにします。
治療により寝ている間の呼吸が改善されると、いびきも軽減されます。
5-2.慢性的に鼻が詰まる病気
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの病気で鼻が詰まっている人は、寝ている間に口呼吸になってしまうので、いびきをかいてしまうことが多いです。
風邪で鼻が詰まっているときも、いびきが出やすくなりますが、風邪なら通常1週間程度で治るので、いびきも1週間くらいで出なくなるので心配ありません。
しかし、慢性的な病気が原因で鼻が詰まっているなら、治療で症状を改善しないといびきも治まりません。
思い当たる人は、耳鼻咽喉科を受診して相談し、適切な治療を受けてください。
【参考情報】『近くの耳鼻咽喉科専門医を探しましょう』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/search_citizens/
6.おわりに
いびきが改善され、口を開けて眠ることが少なくなれば、朝起きた時の喉の痛みも軽減されるでしょう。
しかし、自分でできる対策を行ってもいびきが改善しない場合は、一度病院で検査をしていびきの原因を調べましょう。
もし、睡眠時無呼吸症候群が原因でいびきが出ているなら、治療によっていびきは改善します。
治療によりいびきが出なくなれば、喉の負担も軽減し、痛みを感じることも少なくなるでしょう。